レクリエーション part1導入
日々のレクリエーションに頭を悩ませている人がいる。
介護老人保健施設(以下老健)や、特別養護老人ホーム(以下特老)で働いている方は、毎日の業務の一つに、レクリエーションが組み込まれていると思います。特に、通所リハビリテーションでは、ほぼ毎日レクリエーションを行いますよね。おそらく、看護師よりも介護士、リハビリ職が行うことが多いレクリエーションですが、意外と苦手意識を持っている方が多いようです。
私が老健で働いていた頃、何度もパートの方や同僚に「レク代わって」とお願いされていました。私の働いていた老健では、レク業務が一番の嫌われ業務でした。いつからか私の日勤帯の午後は、レクを担当する職員と言っても過言でないほど、毎日のようにレク業務を行っていました。私は通所の職員でしたが、頼まれた時には入所のレクも行っていました。
皆がレクリエーションを避ける理由は、『ネタがない』『緊張する』『人前(利用者、職員)で話をするのが嫌』といった理由が多く聞かれました。レクリエーションは、いわずもがな重要な業務の一つですので、最低限、利用者さんが楽しくなくてはなりません。
レクリエーションは、個人なのか、集団なのか、少人数なのか。など、構成によっても変わってきます。人数が多いから今日は映画で!なんて方もいますが、それでは元も子もありません。時には映画も悪くありませんが、やはり活動的なレクが必要なのではないでしょうか。
レクリエーションのコツ
一概にレクリエーションと言っても、その種類や方法は多岐にわたり、無限に存在します。よく行うレクに「体操」がありますが、その体操ひとつとっても、動き方や速さ、歌いながら、計算しながら、など、様々な要素を変更することで、身体や脳に与える効果は変わってきます。効果的なレクリエーションを提供するためには、対象者の身体・精神状態を、レクリエーションによって、どのような状態に持っていきたいかというプランが、最初に必要なのではないかと思います。
そこで、少しでもレクをやりやすく、かつ、効果的に行うために、私が推奨したい体制は、身体能力の似た利用者さん同士のグループを作ることです。
例えば、介護度5の方と、介護度1の方が同じレクリエーションに参加して楽しむには、知的活動や外出が主になると思います。身体能力の差を考えずにディスクゴルフやボウリング、エアロビックなどの身体活動量の高いレクリエーションを行ってしまうと、どちらの介護度の活動量に合わせても、満足のいく結果にならないためです。
職員の数や利用日の調整にもよりますが、出来るだけ同じような身体能力を持った利用者さんのグループを作れるようにすることは大事だと思います。その点だけをみれば、入所の利用者さんは毎日を施設で過ごされているので勝手が良いですよね。
レクリエーションのつかみ
漫才やバラエティ番組などエンターテイメントの世界で、お客さんの視線や興味を引くための『つかみ』という言葉があります。レクリエーションにおいても、つかみを意識することで、これから何があるのだろう。どんな楽しいことが待っているのだろう。という期待を持たせることが出来ます。ただ何となく利用者さんの前に出て話し始めるより、つかみを一つ決めてからだと、その後のゲームや体操などの反応も良くなるのでお勧めです。私は挨拶の後にボールジャグリングをしてました。この『つかみ』のためのジャグリングを習得するために、三年間練習しました。職員でもできる人が少ないのと、昔、お手玉で遊んでいた経験のある利用者さんが多かったので、結構反応が良かったです。
つかみは何でもいいと思います。絵が上手ならレク準備の段階で似顔絵なんかをホワイトボードに書いておくとか、落語風に口上を言ってみるとか、清水の次郎長風に「お控えなすって~」とか。女性職員で若い子が言ってたら面白くないですか?とりあえず注目させることが出来ればいいと思います。
認知症の有無について
レクリエーションに参加してもらう利用者さんの中には、認知症のある方も多く含まれると思います。利用者さんのグループ分けがうまくいっても、認知症の有無によって、効果的なレクが変わってきます。認知症の度合いにもよりますが、かなり重度の認知症を患ってらっしゃる方がいる場合、そのグループに対しては、言葉や動きよりも感覚で捉えやすいアプローチをしてくのが良いのではないかと思います。
例をあげますと、視覚を刺激しやすい色鮮やかな風船であったり、聴覚を刺激しやすい懐かしの唄や音、触覚を刺激しやすい道具などを使っていきます。時には(細心の注意が必要になりますが)味覚を刺激するために、栄養士さんを交えて調理を行ってみてもいいかもしれません。私の経験上ですが、こうした感覚を刺激するレクリエーションは、認知症を持つ方に、かなり良反応を引き出してくれます。
一時間か一時間半ほどの短い時間ですが、覚醒の低い利用者さんに対しても有効な手段で、飽きさせないレクリエーションが提供できると思います。
簡単な工作で作れる道具を一つ紹介します。百均で売ってるマッサージ用のゴムで出来たイガイガボール。あれに鈴を仕込みます。これだけでいいです。普通のゴムボールを使うより感覚的な刺激が多くなるので、全然変わります。できればカラフルに染色してください。もし、今まで普通のゴムボールで玉入れなんかをしてた方がいましたら、やってみる価値はあると思います。
寝たきり状態の方へのレクリエーション
色々なレクリエーションがありますが、寝たきり状態となってしまった方(ここでは重度の認知症と関節拘縮も進み、ほとんど反応を示さない方を対象に書きます)へのレクリエーションは難しいと言う方が多くいます。
効果的にレクリエーションを進めていくためには、その利用者さんの過去を振り返ってみましょう。一番はご家族に話を聞くといいと思います。その方が昔なにに興味を示し、どのような生活を送ってきたかがわかれば、反応を引き出しやすくなるかもしれません。また、施設での生活の中で、反応の良い時間帯や、覚醒する時間を把握することも必要となります。
そうした情報収集の中で、対象の利用者さんが最も喜びそうな事を提供してみるのが良いと思います。色々な事を試してみて、反応の良かった事をメモして、さらに情報を集めていきましょう。もし、行ったことが的外れだとしても、一所懸命にやってくれたら、本人は嬉しいと思います。
色々と書きましたが、レクリエーションにおいて最も必要なことは、職員が楽しくレクを実施できるかだと思います。利用者さんの笑顔を引き出すために必要なのは、職員の笑顔であるからです。
次からは、レクリエーションネタを中心に記事を書いて行きたいと思います。
暇つぶし用ショートショート #2 ヨリコ編(2)
昼休みになって、ミサヲからの返信に気が付いた。友人の加奈子が話す彼氏の愚痴に、適当に相づちしながら、トークを開く。
『ヨリコさん、おはようございます。元気ですよ。他の方からも同じような連絡が届いておりまして、ご心配をおかけして申しわけないと思っておりました。子女組長となられたヨリコさんとは、歳も近いので、これから沢山お話がしたいです。学校はどうですか? 唐突な質問で申し訳ありません。しかし、私は昔から同年代の方とどのようにお話をしたらよいのかわからないので、どうかご容赦ください』
長文の書き込みであったが、それをヨリコは嬉しく思った。幼いころ、両親とともにミサヲのもとへ挨拶に行った頃が懐かしく感じたからだ。ミサヲは、他の子供たちとは違い、村では巫女のとしての扱いを受けていることから、気軽に話しかけたり、遊んだりはできないのだ。しかし、ヨリコは密かにミサヲと遊んでいた時期があった。これは絶対に口外できない思い出であり、ミサヲとヨリコの二人しか知りえない思い出なのだ。
「ミサヲさま、今日は抜け出せたんですね」
「ヨリコちゃんは、いつでも自由にお家から出られるの?」
村から少し離れた山中の広場は、神社の裏手からまっすぐに上っていくとある。切り株や倒木の間から、青々しい草木と、瑞っぽい花弁を垂らした花が、月明かりに照らされている。
「へへ、秘密の抜け道を作ったんだ~」
「え? お家に作ったの?」
「ですです、自分の部屋の壁を少し壊しましたけど」
それを聞いたミサヲは、目を丸くして驚いている。それから少しして俯いた。
「私にはできないな、ヨリコちゃんは勇気あるね」
「そりゃそうですよ、ミサヲさまがお家の壁を壊したら、きっと国からも怒られますよ」
ヨリコは大げさにそう言った後で、パジャマのポケットからチョコレートを出す。包装紙には、一口チョコレートと書いてある。
「はい、ミサヲさま」
その一つをミサヲに手渡した後で、自分の分を口に放り込み、空を見上げた。
「ありがとう」
「星がきれいですね。ミサヲさまは、星は好きですか?」
「甘い……。うん、でも星を見ていると、時々怖くなるの」
「どうしてですか?」
「あの星が一斉に降ってきたら、私の力ではこの土地を守れないから」
ヨリコが空から視線を外して、ミサヲを見る。ミサヲの頬に伝い煌めく涙の一粒を見たとき、ヨリコはその涙を星より奇麗だと思った。
「大丈夫ですよ、その時は私がミサヲさまを守りますから」
ふふッと、笑ってからヨリコは立ち上がると、木くずのついたお尻を払って歩き始めた。それをみたミサヲも立ち上がり、三歩後をついてくる。
「ヨリコちゃん、私は明日から行(ぎょう)に入ることになったの。だから、これからはあまり会えなくなるかもしれない」
「はい、でも、村の回覧板に連絡先は載っているし、その気になればいつでもお話できますよきっと。大丈夫です。涙を拭いてくださいよ、ミサヲさま。私はいつでも友達でいますから」
「ありがとう、私は今日の事は一生忘れない、そんな気がする」
「大げさですよミサヲさまは。たとえ、行に入って私との記憶を失っても、今日のこの景色と、肌をかすめる風の質感、木々の匂いは絶対に消えませんから」
「そうだね、また遊ぼうね、ヨリコちゃん。ごめんね、またいつか、遊ぼうね」
その次の日から行に入ったミサヲは、村ですれちがっても会釈をする程度で、話をしなくなった。月に一度の、神主による説法のさなかに、その姿を見るたび、顔からは少しずつ赤みが消え、次第に影を纏うようになっていった。若衆を魅了するには十分な艶美を備え、影さえも纏ったミサヲは、この世の女とは違った雰囲気を漂わせていた。
「ちょっと、ヨリコ! 聞いてるの?」
「あ、ごめんごめん。で、なんだっけ?」
加奈子は短くため息をついてから、「私には相談できる友人もいないってのか」といって、彼氏の愚痴を続けている。タカシとのトーク欄を開く。「ミサヲさまから返信来たよ」と送ろうとしたが、文章を消した。
ミサヲとのトーク欄を開いて、『ミサヲさま、お元気そうで良かったです。学校は、ぼちぼちといったところです。楽しいわけでも、つまらないわけでもありません。ミサヲさまは、今は高校には行かれてないのですか? 確かS女子高でしたよね?』と送った。
明日の話題 #3
12月28日(木)
【石原裕次郎の誕生日】
石原裕次郎は、1934年生まれの日本の俳優、歌手、モデルなどマルチに活躍した人物。兄は政治家で作家の石原慎太郎。さまざまな形でメディアに取り上げられ活躍し、日本で知らぬものはほとんどいないと言われた人物であったが、肝臓を悪くして52歳の若さで亡くなる。
【世界の祭】
チーズ転がし祭り:イングランドにおいて、200年の歴史を誇るとされる祭。その内容は、丘の斜面に転がる一つのダブルグロスターチーズを、丘上に並んだ参加者がスタートと同時に追いかけて先にチーズを取った人が勝ちという祭。駆け降りるスピードは時に100㎞を超える。かなり危険で、けが人が毎年続出する。
猫祭り:ベルギーで3年に1度行われる祭で、世界中の猫好きが集まります。祭の内容は、猫に仮装した人達が練り歩いたり、日本でいう神輿のような、巨大な猫の人形がパレードしたりと、華やかな内容となっています。町中、猫だらけになるこの祭は、約400年前の魔女狩り時代の悲しい過去が発端となっています。当時、猫は魔女の手先として忌み嫌われ、その多くが殺されました。その猫たちを祀るために行われるようになりました。
ハルビン国際氷雪祭:世界三大氷祭と言われるこの祭は、中国の中でも寒い地域で行われます。その気温はマイナス30度。その規模もさることながら、イルミネーションを施された氷像は素晴らしく、一度は訪れたい祭です。
ヴェネツィア・カーニバル:イタリアで行われる仮面舞踏会で、世界三大カーニバルの一つに数えられています。1000年以上の歴史があり、街中は、華やかな衣装と仮面を纏った人たちで埋め尽くされます。
インティ・ライミ:ペルーの世界遺産の街クスコで行われる祭で、太陽の祭を意味しています。鮮やかな衣装に身を纏った楽団や兵士が、太陽の神を讃えて、歌い踊る楽しい祭となっています。
暇つぶし用ショートショート #1 ヨリコ編(1)
【赤祭り】
私が生まれ育ったS県M村には、赤祭りという、他の土地にはない珍しいお祭りがあります。あ、話を始める前に一つだけ言わせてください。
この話をする時に、私が必ず皆にお願いしている事なのですが、一切の他言無用でお願いします。内容が奇抜すぎるのと、人によっては少しトラウマになってしまうかもしれませんので。多少の覚悟を持って、聞いてくださいね。
それでは、改めて話していきますね。
赤祭りの「赤」が何から来ているのかと言うと、これは『赤い巾着袋』の事を指します。というのも、私のいた村では、一軒一軒の軒先に、赤い巾着袋が飾られているのが普通なんです。風習というやつでしょうか。まぁ、あまり他ではないですよね。
それで、この赤い巾着袋というのは、家が建った時に、村に一つだけある神社の神主さんの手から、配られるものなんです。それは一年に一回ある、赤祭りの時に新しい物が配られます。古い赤い巾着袋は、この祭りの中で焼いてしまいます。
これが、一応祭りのメインイベントになっていまして、村中の家が……と言っても二十軒しかないのですが。村に家を構えるそれぞれの家族が、巾着袋を持ち寄って、祭りの開催される広場の真ん中で、古い赤い巾着袋を焼きます。
お祭り自体はかなりシンプルで、面白みはありません。赤い巾着袋が燃え煙るのを皆で見送る程度の祭りです。ほかには神主さんの祝詞を聞いたり、広場の脇に建てられている掘っ立て小屋の中で、赤飯やら餅、酒、鹿肉の入った汁が振舞われるくらいです。
村には子供が少ないので、私なんかの若い連中は、特段この祭りを楽しみにする感じではありませんでした。でも、その日だけは友達と夜遅くまで遊んでいても怒られることが無いので、大人たちの酒飲みが終わる時間までは、かがり火と提灯で明るい広場でサッカーをしたり、缶蹴りをしたりして遊んでいました。
私が中学一年になった年、村の子供たちの代表に選ばれました。中学校は村から約20キロも離れた隣町まで通っていたのですが、村は山の麓で、当然バスなどは通っていないので、朝、市場に向かう軽トラックに乗せてもらって、学校の近くで降ろしてもらっていました。登下校は、毎日違う人の車で送迎してもらいました。村だと全員が顔見知りなので、特に問題なく学校は通えましたね。
それで、年長だった私が、子供たちの代表に選ばれたわけですけど、ここで少し、村の事を詳しく説明しますね。
村には「年寄組」「盛年組」「子女組」という組が存在します。聞くだけで大体わかると思うのですが、年齢層によって各組に入る事になります。私は中学生だったので、子女組の代表である組長(くみおさ)に選ばれたということです。
組がある意味なのですが、それぞれの年代の意見をまとめて、談合するために作られたものです。それぞれの組長は、神主一族に次いで、村のトップスリーになります。私は子女組の代表だったので、村で三番目にえらい立場になりました。
この三人の権力は、他の村人と歴然の差があります。例えば、子女組代表の私が盛年組の一般組員に命令すると、年上である一般組員でも命令に従わなくてはなりません。命令をする対象が年寄組の一般組員であってもそれは変わりません。年齢の垣根を越えて意見することが出来るように、この制度が存在しています。因みに代表三人は年齢の大きい方から一番、二番、三番とされますが、実質は同格となります。なので、村のヒエラルキーは上から順に、神主一族→組長三人→一般の村人となります。組システムは大体こんな感じです。
話し言葉は読みにくいと思いますので、ここからは小説風に書いていきますね。
緑の山麓が朝露に陽を受けて輝いている。山麓の形をなぞるように街へと続く沿線を、葉野菜や特産のしいたけを積載した一台の軽トラックがのんびりと走る。周囲を山に囲まれたM村の朝は、冬になると毎朝霧に囲まれる。道路は管轄の地方都市の役人によってきれいに舗装されているが、時折、時間の感覚の狂ったタヌキが、車の前を横切ったりする。昼夜問わず道路を照らす照明が設置されたせいだ。
「子女組長(しぃおさ)よぉ、少しお願いがあるんだが、聞いてくれねぇか」
運転席に座るのは、村の若衆であるタカシだ。ヨリコよりも六つ年上の青年。組長になると、こうして他の組員からも相談を持ち掛けられることが多い。とりとめもない、ごく普通の会話だ。
「なんですか」
「実はよぉ、ここんところミサヲ様を見かけねぇんだ。もしかすると、高校へ行ってねぇかもしれねぇ」
ミサヲ様というのは神主の娘で、ヨリコの3つ年上の女性のことである。今の時代にはとても似つかわしくない、古風なたたずまいで、幼いころから伸ばした艶のある長い髪と、憔悴したように陰鬱気な面立ちが、村の若集に人気がある。ご多聞に漏れず、タカシもその一人なのだろう。
「ミサヲ様か、私も最近見ないな。あんな狭い村なのにね。タカシさん心配なんだね」
意地悪をするようにヨリコはタカシに言うと、スマートフォンを取り出してミサヲとのトーク欄を表示する。
「最後に連絡とったの、私も半年前だよ」
「しぃおさがそれじゃぁなぁ。俺なんか一度も返信ないもの」
タカシはそういってキャップを深くかぶりなおす。
「でもよぉ、心配じゃねぇか。年寄組長(とぉおさ)にも話したけど、手で払われちまったもんだから」
「ヨネばぁさまは、結構聞いてくれるほうだよ」
「そりゃ知っているが、どうせ下心だろ。とか言っていたし、しぃおさから言ってもらった方が良いかと思ってよ」
「まぁいいよ、私から言ってみる。あと盛年組長(せいおさ)にも言っておくわ」
「ありがてぇ。やっぱ相談事は、しぃおさにするのに限るな」
タカシはそう言うと、嬉しそうに笑ってから、タバコに火をつける。排煙のためにわずかに開けた窓の隙間から、冷たい風が入ってくる。車のスピードが心なしか上がったように感じる。
車内のカップホルダーには、冷え切った缶コーヒーが二本ささっている。車に乗るときにタカシから「朝のコーヒーをどうぞ」とか言われたけど、間違ってコールドのコーヒーを買ってしまったという自分の不手際を、タカシは一向に口に出さない。
学校に着くころになると、タカシはヨリコにいばくかの金を渡した。札と小銭がごちゃっと、ヨリコの手のひらに載せられた。
「今日のおこづかい。すまん、さっきのコーヒーそこから買った」
「ありがとう。私の分のコーヒーはタカシさん飲んで。それじゃあ、お仕事頑張ってね」ヨリコが車を降りながら言う。
「しぃおさも、勉強頑張ってな。帰りまた寄るから」
タカシは口にタバコを咥えながら、器用にそう言うと、シフトレバーを戻してゆっくりと走っていった。
走り去る車の後ろに手を振ってから、ヨリコはスマートフォンの時計を確認する。登校する学生がまだ急いでいないことから、時間には余裕があるのはわかっていたが、それよりも、ミサヲへの連絡を一度してみようと思ったのだ。ミサヲが毎朝四時には起きている事を知っている。そのことは村中の者が知っている。村を見下ろす位置に建てられた神社から、ミサヲは朝の四時になると起きだして一軒一軒回るからだ。
今朝もその痕跡はあった。だから、ミサヲが課せられた神事を全うしているのは村中の全員が分かっている。その痕跡を見た村の者たちは「今日もご苦労様でございます。ミサヲ様」と、手を合わせるもんだから、その姿が見えないとなると、若衆に限らず心配するのも無理はない。ヨリコもタカシに言われるまで忘れていたが、確かに姿を見ていないと思った。
通話アプリのトークに、『ミサヲさま、おはようございます。おげんきですか?』と書き込んだ。
明日の話題 #2
12月27日(水)
【恐るべき動物の能力】
アリ:アリは自分の体重の50倍の重さを持ち上げることが出来ます。これを人間に換算すると体重60キロの人が3tの荷物を運べることになります。
ハエ:複眼という特殊な眼を持つハエは、物の動くスピードが遅く見えている。人間の感じる1秒が、ハエには6秒に感じる。なので、捕まえにくい。同じく複眼を持つトンボも一緒。
猫:猫は高いところから落ちると、即座に体勢を整えて落下の衝撃に備えます。猫は人間と比べて三半規管(空間における体の向きや重力を感知する部分)の能力が優れているため、反応速度も速い。
キリン:温厚そうなキリン。実はかなりケンカが強い。ライオンにも勝てる。キリン同士のケンカは、首を鞭のようにしならせて相手を叩く戦い方。その威力で相手の首が折れてしまうこともある。キリンは時速約60㎞で走る。歩いても時速約15㎞で歩く。睡眠時間が短い。20分くらいとの話も。
ゾウ:ゾウの嗅覚は人間の5倍。犬の2倍である。これは動物界でトップクラスといえる。長い鼻で水を吸い込むが、その量は9リットルくらい。鼻はいくつもの筋肉で出来ており、1t程度の重さを持ち上げることが出来る。ゾウは、足の裏で40㎞先の音を感知することが出来る。
今日は、高齢者の方達にもウケの良い、動物の雑学にしてみました。良ければ使ってくださいね。
学生・新人が被るストレスについて
みなさんこんにちは、今回はお仕事をするうえで必ず抱えてしまうストレスについて書いて行こうと思います。
学生のころや新人のころは、どうしてもストレスを抱えがちです。
ストレスの要因は、主に職場の人間関係が多いかと思います。しかし、医療福祉業界で仕事をしていく以上、切っても切り離せないものです。
特に、新人さんや学生時の実習などは、多大なストレスにさらされます。
人間関係以外でも、カルテやレポートが書き終わらずに時間に追われてしまったり、明日の事で悩み眠れない夜もあることでしょう。
ストレスを放っておくと、自分の本来持つパフォーマンスが発揮できずに、さらに悩んでしまうといった、悪循環に陥ってしまいます。
自分なりのストレス解消法を持っている方は問題ないと思うのですが、真面目過ぎる方や完璧を求めてしまう方は、ストレスを抱えやすいと思います。
私の考えですが、学生さんや新人さんは、臆せずにやりたいことをやればいいと思います。それが患者さんにとって危険につながることだとすれば、必ず先輩が止めてくれます。持って行った案に対して、高圧的な態度で叱責されるようなら、その先輩に問題があります。
特にリハビリ業界に多く見られるのが、新人、学生に対する態度の悪さです。
たしかにリハビリはプロフェッショナルでなくてはならない職であります。患者さんからの期待も大きいので、ミスは許されません。忙しいのもわかります。
しかし、患者さんを担当した経験の少ない新人さんや学生さんが、主動で出来ることは本当に少ないです。それは当たり前の事なのですが、ひどい場合だと「自分が新人(学生)のころは~だった」など、聞いてもいないことを話し始める人がいます。
余談ですが、私が実習に行っていたころに、朝の挨拶すらただの一度も返してこなかった人がいました。当然、質問にいっても無視です。
プロフェッショナルでなくてはならない仕事だからこそ、やりたいことを沢山やらせてあげる、気軽に質問できる環境が必要なのです。また、現場と実習は別物なので、あまりにも辛そうなら先輩側から手を差し伸べることも必要だと思います。
新人さんや学生さんの教育をすることも、プロフェッショナルとして重要な事です。しかし、それがわかっていない人が多くいます。辛く苦しい仕事や実習になってしまうと、その先が続かず、成長もできません。
新人さんや学生さんは、そうした先輩とは関わらない方が自分の精神衛生も保たれるので、無視して心から抹消してしまいましょう。気に病むだけ損です。
信頼できる先輩と、自分の仕事をひたすらまっすぐに突き詰めていくことが、遠回りであり、一番の近道になると思います。
リハビリ業界においては、実習中だった学生が自殺してしまった過去もあります。
改善はされているようですが、現状でも睡眠時間が全く取れなかったり、鬱になってしまう方もいると聞きます。
医療福祉業界に憧れて進学した学生や、希望を持って入職した新人が、一通りの仕事がこなせるようになるまで、土壌を整えてあげる事が、今の医療福祉業界には必要だと思います。
医療福祉の仕事は、やりがいも大きく素晴らしいものです。しかし、一部の人間によって、理想や希望が一瞬で打ち砕かれる業界でもあります。私たち既存の職員は、もっと親身になって学生や新人の指導にあたるべきだと思います。
明日の話題 #1
みなさんこんにちは、今日から始めたブログの記事、一本目は『明日の話題』です。
私が毎日のお仕事の中で、良く耳にするのは、毎日の話題についてです。
患者さん、利用者さんとお話をすることは、私にとっては苦ではないのですが、実習生や新人の方から、「何を話したらいいのかわからない」や「毎日会うので話すことがなくなる」といった言葉が結構聞かれています。
患者さんや利用者さん好みの話をすること、楽しい話題から会話を広げていくことは、職員と利用者の双方に益のあることだと思います。
それだけで担当の職員に会いたくなったり、リハビリや施設での生活が楽しくなったりと、信頼関係に直結する大切なことだと、私は捉えています。
そんなわけで、今日から話のネタになるような事をまとめた記事を提供していこうと思います。
12月25日はいわずもがなクリスマスという大きな行事がありますので、今日は、簡単にクリスマスの雑学を一つ二つと、過去にあった出来事などをざっくりと書いて行きます。
【サンタクロースの由来】
・サンタクロースのモデルは、古代ローマ帝国のミラという小さな町で司教をしていたニコラウスという人物です。ニコラウスは、貧しい家族を助けるために煙突にむかって金貨を投げ込むと、それが暖炉脇に吊るしてあった靴下に入りました。この逸話がもとになって、夜中にプレゼントを靴下に入れるという今のスタイルが生まれました。
・今のサンタクロースの服は、赤が主流ですが、元々は緑や白が普通でした。しかし、コカ・コーラが宣伝でサンタクロースを使用した際に、赤の服を着せ、白いひげをデザインしたことから、世界的に「サンタクロースの服は赤で白い豊かな髭、笑顔」という印象が強くなりました。
【およげ!たいやきくんが発売された日】
・1975年にオリジナル版が発売された「およげ!たいやきくん」は、子供向け番組内で作られたオリジナルナンバー。予約の時点で30万枚超を記録し、1月初頭には100万枚を突破。総売り上げは500万枚といわれ、シングル盤売上記録としては国内でいまだ破られていません。
調べればすぐに出てくるような話ですが、わざわざ調べなくても、このブログをみればすぐにその日の話題が何かしら得られるように、更新していきたいと思います。
それでは、今日はこの辺で。仕事無理せずに頑張っていきましょう!!