いぬのこざら

医療福祉現場で働く人の力になりたい

レクリエーション part1導入

日々のレクリエーションに頭を悩ませている人がいる。

介護老人保健施設(以下老健)や、特別養護老人ホーム(以下特老)で働いている方は、毎日の業務の一つに、レクリエーションが組み込まれていると思います。特に、通所リハビリテーションでは、ほぼ毎日レクリエーションを行いますよね。おそらく、看護師よりも介護士、リハビリ職が行うことが多いレクリエーションですが、意外と苦手意識を持っている方が多いようです。

私が老健で働いていた頃、何度もパートの方や同僚に「レク代わって」とお願いされていました。私の働いていた老健では、レク業務が一番の嫌われ業務でした。いつからか私の日勤帯の午後は、レクを担当する職員と言っても過言でないほど、毎日のようにレク業務を行っていました。私は通所の職員でしたが、頼まれた時には入所のレクも行っていました。

皆がレクリエーションを避ける理由は、『ネタがない』『緊張する』『人前(利用者、職員)で話をするのが嫌』といった理由が多く聞かれました。レクリエーションは、いわずもがな重要な業務の一つですので、最低限、利用者さんが楽しくなくてはなりません。

レクリエーションは、個人なのか、集団なのか、少人数なのか。など、構成によっても変わってきます。人数が多いから今日は映画で!なんて方もいますが、それでは元も子もありません。時には映画も悪くありませんが、やはり活動的なレクが必要なのではないでしょうか。

レクリエーションのコツ

一概にレクリエーションと言っても、その種類や方法は多岐にわたり、無限に存在します。よく行うレクに「体操」がありますが、その体操ひとつとっても、動き方や速さ、歌いながら、計算しながら、など、様々な要素を変更することで、身体や脳に与える効果は変わってきます。効果的なレクリエーションを提供するためには、対象者の身体・精神状態を、レクリエーションによって、どのような状態に持っていきたいかというプランが、最初に必要なのではないかと思います。

そこで、少しでもレクをやりやすく、かつ、効果的に行うために、私が推奨したい体制は、身体能力の似た利用者さん同士のグループを作ることです。

例えば、介護度5の方と、介護度1の方が同じレクリエーションに参加して楽しむには、知的活動や外出が主になると思います。身体能力の差を考えずにディスクゴルフやボウリング、エアロビックなどの身体活動量の高いレクリエーションを行ってしまうと、どちらの介護度の活動量に合わせても、満足のいく結果にならないためです。

職員の数や利用日の調整にもよりますが、出来るだけ同じような身体能力を持った利用者さんのグループを作れるようにすることは大事だと思います。その点だけをみれば、入所の利用者さんは毎日を施設で過ごされているので勝手が良いですよね。

レクリエーションのつかみ

漫才やバラエティ番組などエンターテイメントの世界で、お客さんの視線や興味を引くための『つかみ』という言葉があります。レクリエーションにおいても、つかみを意識することで、これから何があるのだろう。どんな楽しいことが待っているのだろう。という期待を持たせることが出来ます。ただ何となく利用者さんの前に出て話し始めるより、つかみを一つ決めてからだと、その後のゲームや体操などの反応も良くなるのでお勧めです。私は挨拶の後にボールジャグリングをしてました。この『つかみ』のためのジャグリングを習得するために、三年間練習しました。職員でもできる人が少ないのと、昔、お手玉で遊んでいた経験のある利用者さんが多かったので、結構反応が良かったです。

つかみは何でもいいと思います。絵が上手ならレク準備の段階で似顔絵なんかをホワイトボードに書いておくとか、落語風に口上を言ってみるとか、清水の次郎長風に「お控えなすって~」とか。女性職員で若い子が言ってたら面白くないですか?とりあえず注目させることが出来ればいいと思います。

認知症の有無について

レクリエーションに参加してもらう利用者さんの中には、認知症のある方も多く含まれると思います。利用者さんのグループ分けがうまくいっても、認知症の有無によって、効果的なレクが変わってきます。認知症の度合いにもよりますが、かなり重度の認知症を患ってらっしゃる方がいる場合、そのグループに対しては、言葉や動きよりも感覚で捉えやすいアプローチをしてくのが良いのではないかと思います。

例をあげますと、視覚を刺激しやすい色鮮やかな風船であったり、聴覚を刺激しやすい懐かしの唄や音、触覚を刺激しやすい道具などを使っていきます。時には(細心の注意が必要になりますが)味覚を刺激するために、栄養士さんを交えて調理を行ってみてもいいかもしれません。私の経験上ですが、こうした感覚を刺激するレクリエーションは、認知症を持つ方に、かなり良反応を引き出してくれます。

一時間か一時間半ほどの短い時間ですが、覚醒の低い利用者さんに対しても有効な手段で、飽きさせないレクリエーションが提供できると思います。

簡単な工作で作れる道具を一つ紹介します。百均で売ってるマッサージ用のゴムで出来たイガイガボール。あれに鈴を仕込みます。これだけでいいです。普通のゴムボールを使うより感覚的な刺激が多くなるので、全然変わります。できればカラフルに染色してください。もし、今まで普通のゴムボールで玉入れなんかをしてた方がいましたら、やってみる価値はあると思います。

寝たきり状態の方へのレクリエーション

色々なレクリエーションがありますが、寝たきり状態となってしまった方(ここでは重度の認知症と関節拘縮も進み、ほとんど反応を示さない方を対象に書きます)へのレクリエーションは難しいと言う方が多くいます。

効果的にレクリエーションを進めていくためには、その利用者さんの過去を振り返ってみましょう。一番はご家族に話を聞くといいと思います。その方が昔なにに興味を示し、どのような生活を送ってきたかがわかれば、反応を引き出しやすくなるかもしれません。また、施設での生活の中で、反応の良い時間帯や、覚醒する時間を把握することも必要となります。

そうした情報収集の中で、対象の利用者さんが最も喜びそうな事を提供してみるのが良いと思います。色々な事を試してみて、反応の良かった事をメモして、さらに情報を集めていきましょう。もし、行ったことが的外れだとしても、一所懸命にやってくれたら、本人は嬉しいと思います。

色々と書きましたが、レクリエーションにおいて最も必要なことは、職員が楽しくレクを実施できるかだと思います。利用者さんの笑顔を引き出すために必要なのは、職員の笑顔であるからです。

次からは、レクリエーションネタを中心に記事を書いて行きたいと思います。